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凪いだ海のただ中で、ボートが慌ただしく揺れている。 「ナツ、ナツッ!」 ボートの上でカナメが焦っていた。手元のディスプレイを揺らして叫ぶ。しかし無情にも、ナツの視界をトレースして表示するはずのそれは暗黒に黙して何も語らない。 「くそッ。ああ、もう。俺は何をやってる。何でこんなことに」 夕暮れの海は石油でも混じったように暗くなっていく。カナメは今にも降り出しそうな空の下で、ボートの縁を殴って天を仰いだ。 雨多ノ島水族館の地下、立入禁止区域には海に面した入江がある。ナツは岸辺で海に脚を投げだし、ツナギの頭を撫でていた。ツナギは粘液にまみれた触腕をにゅるるっと彼女の腕に絡ませる。 バリバリとガムテープを剥がすような声で、戯れに言うナツの単語を復唱した。 「ぬれねずみ」 「ヌ、ブデズム」 ナツは笑顔で、ツナギの腹部にある裂け目に指を挿しこみ、ぐちゅぐちゅと水っぽい音を立ててかき混ぜる。ツナギは嬉しいのか苦しいのか、喚くような声をあげた。 「おいあんまり変な言葉覚えさすなよ。連絡取りづらくなるんだから」 白衣を着たカナメがやってきた。連日の研究で無精髭が出ている。ナツをちらりと見るが、無表情にボートに乗って準備を始めた。ソナーやその他計器の確認をしながら言う。 「ナツ――まだツナギ着なくていいから服着れ」 触腕は全裸のナツに絡み付き、褐色の肌に汁が流れていく。二十五歳の身体は、ゴージャスな海外モデルにも引けをとらなかった。ナツは屈託なく笑った。 「誰もウチの裸とか興味ないやろ」 「お前は伊豆の踊り子か」 カナメは、興味なくなくなくなくなくなくはないが、と心中で呟いた。ナツにタオルを投げ、イヤホンをつけて無線のスイッチを入れる。 「こちら瀬戸内カナメ。こちら瀬戸内カナメ。聞こえますか」 「聞こえ――もっ――おおきな声――」 音がぶつ切りにしか聞こえない。 「もしもぉし! こちらカナメ!」 「うるっせーよ阿呆! こっちゃ二日酔いなんだ」 野太い声が離れたナツのところまで響いた。カナメは顔をしかめてイヤホンを耳から少し離す。 「すんません」 「今日の仕事は、深度千二百メートルの調査な。潜行ポイントはPCの方に送ってある」 事務員の黒川は面倒そうな声を出した。 「そこに何かあるんスか」 「よく知らねえが、ツナギの元になった生物『それ』が見つかった場所なんだそうだ。ようやく政府からの調査許可がおりたって館長が喜んでた」 「ああ、例の――」 カナメはボートを指差し、ナツに乗り込むように指示した。エンジンをかけ、櫂を使って押し出す。無線がガサガサとビニール袋を擦るような音を立てた。 「こっちに面倒が起きないように処理しろよ」 「まあ、大丈夫スよ。俺はともかくナツは天才なんで」 横で聞いていたナツはわざとらしく「うへへ」と言いながらカナメにじゃれつくが、頭を押されて戻された。ボートは水を裂くように進んでいった。 十数分後、周囲には何の目印もない潜行ポイントに着いた。ナツの身体にツナギが膜を張り、内部が溶けて幼稚園児ほどの大きさまで小さくなる。それから急に膨張して数十本の触手をうねうねと踊らせる人間大の「ヒトガタ」に変化した。 カナメはモニターを確認すると、合図を出した。ナツはずるりと紺色の海へ入っていった。ボートにはナメクジが這ったあとのような粘液が残った。 「よし、水中で生体受容器と尾ビレを出すぞ」 「あい」 カナメがタッチ操作でディスプレイを弄ると、ナツの両足がくっつき魚のように流線型になった。エラ呼吸に変化する。また、傍目にはわからないが無線が出 す音波をキャッチできる機構が脳内に作られた。ナツは勢いよく左右に水を蹴る。海面からの白い光が射し込んで、大小の魚たちの影が見えた。 ナツはあっという間に深度二百メートルを越える。そのころには、光は海面の一パーセント程度しかなくなる。ここから先は深海と呼ばれる場所。ナツの足元に青い闇が待ち構えていた。 「浮袋、大丈夫なん」 海上のカナメは、ナツの泳ぐ速度に合わせて、ツナギを変化させる命令を出している。各深度に適応した生物の浮袋を、そのつど遺伝子操作の命令で作り替えて用意しているのだ。 「今更聞くなよ。大丈夫じゃなかったら、浮袋が潰れてユーはショック! お前は既に死んでいる」 数秒の沈黙。 「ああ、そう」 「ここからはその身体でもヤバイし、ちょっと太らせるからな」 カナメはツナギを構成している成分のうち、コラーゲンを外皮に集中させた。見た目には、目も口もないプルンプルンしたピンク色の肉塊になった。深海生物シー・ピッグ(海の豚)と呼ばれるセンジュナマコに近い造形だった。 「目指すのは名呑海溝、千二百メートル地点だ」 泳ぐというよりも、静かに落ちていくように更なる深みへと向かっていく。カナメは忙しく数値の微調整を繰り返しながら、ツナギと同じ機構の生体音波器を使い無線の可聴域を高めた。やがて海溝千二百メートル地点へ到達する。完全に黒一色になり腕の先も見えない。 ナツはぼんやりとした闇の中を一人でおちていく。途中で嫌になろうがどうしようが縦横半径一キロは海水で逃げられないという圧迫感。カナメには耐えられそうもない。 「宇宙飛行士ってのは、こんな感じかもしれんね」 肉塊になったツナギから二つの目が現れた。そこから赤い光が放射される。 「なんかウチの目が光っとるんやけど」 「オオクチホシエソの遺伝子だ。その辺りに穴があるらしいんだが」 ナツは海底峡谷の横肌をなぞるように探していく。光を当てると、物体の凹凸に応じて影が踊るように動いた。恐怖を煽る光景だったが、ナツは何も言わず、 それどころか軽快に作業を進める。小さな光だけでは頼りないので、触手を長く延ばして丁寧に触っていくと穴が見つかった。 大人一人がやっと入れる穴から激しい水流が出たり入ったりしている。 「なんか――怖い」 「ナツがそんなこと言うのは珍しいな。水流が出てるってことは、この穴は地上まで繋がってるんじゃないか?」 「でも名呑町にそんなとこがあるとか聞いたことないよ」 躊躇して行こうとしない。迷っていると、カナメがリラックスさせるように気の抜けた調子で言った。 「戻ったらカツカレー奢るから、もうちょっと行こうぜ」 ナツは少し笑うと、その言葉に乗るような形で穴へ入っていく。背後に蝙蝠とタコを混ぜたような軟体動物がいたが、二人は気づかない。 穴は急激な角度で上方に向かっていた。カナメは再度細胞の調整を繰り返していく。壁面を見ながら、二人は驚いていた。 「ウソだろ」 それは壁画だった。大部分がフジツボの類で隠れていたが、明らかに人為的なものだった。 「人間がいたとして、ここが海に沈む前だろ? 一体何年前の話だよ」 壁に刻まれているのは、蝙蝠の頭からタコのような触手が大量に出ている化物だった。ひょろ長い二本脚の生物たちの上位に描かれている。 「これは人間か。海に沈む前ってことは、ここは元々山だったのかもな。今、ナツは山を登ってるってことなのか」 「カナメ、ウチがなんか怖いと思ったんはこれのせいかもしれん。壁の絵。これ、見たことある気がするんよ」 ナツの背後に軟体動物「それ」が張り付き、背中部分のコラーゲンを触手の先にある爪で破き始めている。 「ああ、それ俺も思ってた。名呑町のゑびす像に似てるんだよ」 カナメは壁画を映し出すモニターを眺め、一人頷いた。ナツの声を待つ。 「や、ウチは夢で見た気がするんよ。えらい怖い夢で」 そこで急に海上のモニターが消えた。暗い画面に、疲れた男の顔が映っていた。カナメはうんざりした表情で自分の顔から目をそらし、落ち着いて呼びかける。 「ナツ?」 呻き声だけが聞こえた。 「大丈夫か!」 「多分『それ』が来とる。あの壁画みたいな。モニターのところ壊」 音声まで途切れた。 「ナツ、ナツッ!」 海上でカナメはモニターを揺らす。二人が経験する初めての事態だった。カナメの頭には責任問題やらが駆け巡り、嫌がるナツを無理に行かせたことを思い出した。 「すぐに復旧するかもしれないしな」 水族館に連絡すると自分が怒られるに違いなかった。しかしディスプレイを見て一瞬でその考えは激しい自己嫌悪に変わった。ツナギの表皮コラーゲン量がみるみる減っていた。おそらく攻撃されているに違いなかった。 カナメの体が動いた。 「水族館、誰か応答してください、お願いします!」 数秒の判断ミス。数十秒の沈黙。取り返しのつかない事態。永遠の別れ。カナメは考えるだに脳みそが焼き切れそうだった。 「くそッ! ああ、もう。俺は何をやってる。何でこんなことに」 「何が起こったの」 館長ユーミの声がした。 「ナツの連絡が途絶えました。『それ』に襲われたみたいです」 ユーミの顔から血の気が引いた。脳裏に蘇る恐怖を必死で抑えながら声を張った。 「見たら体勢を立て直せるまで全力で逃げなさいって前に言ったでしょうが! PCは?」 「生きてます。映像と音が聞こえません」 「今すぐプラナリアの遺伝子から自己再生、同時にヌタウナギの分泌物を出して」 カナメは言われた通りにするが、指が震えてしまう。 「あとは?」 「祈るしかないわ」 深海のナツは、失敗したつみれのようにホロホロと崩れていた。「それ」は容赦なく中を喰い破ってくる。ナツは自分ではツナギを変化させられない。今の肉 塊形態では動きも遅く逃げられない。できるのは、表皮コラーゲンに潜っている「それ」を自分の身体ごとちぎって振り払うことしかなかった。 「それ」は一旦離れるが、すぐにやってくる。コラーゲンの無くなった箇所から、激しい水圧がかかる。こんなことをしていても、時間の問題だった。 「大丈夫。大丈夫。すぐにカナメは何かやってくれる。ウチは天才やないけど、カナメは天才なんやし」 ナツは自分に言い聞かせながら、神経を尖らせて待つ。 「カナメが何もせず負けを認めることは絶対無い。ありえん」 すぐにツナギの肉が沸騰するように再生し始めたが、「それ」の動きの方がまだ速い。同時に分泌されはじめたヌタウナギの粘液が、半分水に溶けたような「それ」を固めていく。今度は煮凝りのようにして「それ」を突き放した。 「ホラ、カナメはやっぱりなんとかした」 海上のカナメは時計とディスプレイを見つつ、深度数値からツナギの浮袋を操作する。ナツの状態を想像しながら、ほとんど勘が頼りだった。雨が降り出したが、既に計器類にはビニールがかけられている。カナメの白衣にはじっとりと水が染み込み、前髪から水がぽたりと落ちた。 ボートは小川を行く笹舟のように揺れた。 「完全再生まであと七分――」 完全再生は即ち通信環境の復活を意味した。また左手でボートの縁を殴った。指から血が滲む。 「『それ』があんなことで止まるわけがない。このままじゃすぐ追いつかれちまう!」 ナツは来た道を全速力で戻っていた。浮袋のことを考えるが、もたもたしていても死ぬだけだった。穴の入口に差し掛かったところで、ナツは小さく「いかんかもしれん、ね」と自嘲気味に呟いた。 外には「それ」が五、六匹いた。 後ろからも一匹、粘液を解きながらではあるが来ている。ツナギは勝手に浮袋を組み替えられ、身体が浮かんでいく。カナメの仕業だった。これ以上隠れることもできず、ナツは一か八か飛び出した。 ツナギはこれまでにない危険な速さで浮上していく。 カナメは瞬きせず、次々に浮袋を作り替えながら同時に不必要な肉を切り離し「それ」にエサをばらまいた。 「完全再生まであと五分」 ツナギは気圧の変化に耐えられなかった部分から崩れていく。現在深度千メートル。少しずつ黒から濃紺へと風景が変化していく。ナツが足元を見ると、「そ れ」らは異様な速度で上がってきていた。コラーゲンが剥げた部分から出てきた尾ヒレで叩くが、決定的なダメージを与えられない。 「あと三分」 カナメはとりつかれたように血走った目をグルグル動かして操作する。 館長ユーミは水族館で祈っていた。 「お願い、ナッちゃん達を助けてあげて。タマキ」 急激に濃紺から青へと変わっていく世界で、ナツはどこか落ち着いていた。自分は死なないだろう、何故かわからないが頭のどこかでそう確信していた。 「それ」は触手を胴に巻き付け、ツナギの腕へ噛み付いた。上皮部分が外れ、無数の触腕が姿を現す。ナツはそれを使って追い払おうとするが、とらえられず逆に噛み付かれた。 「あと一分」 「それ」は頭部触手に隠れた牙で、ツナギの腕を噛んだ。触手はスルメのように細長く水中に裂け広がり、「それ」らが群がった。ナツは覚悟した。 「クソが。腕くらいやるよ。多分死なんやろ」 しかし、噛み付いた「それ」たちは動かなくなり、暗い海底へと落ちていった。 「ナツ、ナツッ!」 ようやく通信が戻った。ナツは不思議な気持ちでカナメに言う。 「――やあ、久しぶり。さっきのは何が起きたんかね」 「ああ、無事か。良かった! その前に謝らせてくれ。ナツが怖がってたのに行かせた。俺の判断ミスだった。しかも責任とか考えて連絡が遅れたんだ」 カナメは自分を殴り倒したい気持ちで一杯だった。 「えっと。ウチもカナメがちゃんと助けてくれないかもって思っとったし、同じやないかな」 「同じじゃねえよ!」 「じゃあ、とりあえずカツカレーをおごってもらおうかい」 ナツは次第に白くなっていく海を見ながら続ける。 「で、さっきのは何」 「カツオノエボシの触手だ。触れた瞬間に毒が回って痺れる。毎年死人が出てるくらいだ。別名電気クラゲ」 「えらい危ないもん使いよったね」 ようやく水面を突き破ってツナギが姿を現した。ボートの上に乗ると、脈動するツナギの腹が裂け、ナツがどろりと出てきた。 「ナツ、悪い。いっそ俺を殴ってくれ」 ナツが立ち上がる。雨で身体から粘液が洗い流されていく。カナメは膝をついて俯く。ナツはそっとその頭を撫でた。 「顔上げて」 カナメが言われた通りにすると、ナツは思いっきり頬を叩いた。二十五歳の男は吹っ飛んで海に落ちた。 「カナメが納得いくように叩いとく。でもウチも考えて、カツカレーの取引に乗ったってことを忘れんでね」 泳いでボートの端につかまり、カナメは息も切れ切れに言った。 「了解した――ナツ、もう絶対こんなことはないからな!」 ナツはため息を吐くと、カナメに手を貸して引き上げる。雲間から赤い夕陽が差し込み、海と二人を染めていた。
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花奥恵の青い闇(1994年) 花奥恵の好物(1993年) 花奥恵の大好物(1993年) ターニング・ポイント前夜(1993年夏)
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名呑町へようこそ! 海と山の間に引っかかってしまったようなここ名呑(ナノミ)町では謎の生物・宗教・失踪事件・噂などなど様々な人間模様が広がっています。 まずは以下のキーワードに関するアーカイブからお進み下さい。 しかし当然ながら、それだけでは全体を読み通すことはできません。 気になる登場人物・登場した物体があれば上部のwiki内検索を用いてお調べください。全てに目を通すことができたとき、あなたは名呑町の裏で起こっていたことが何か、ちょっぴりわかるかもしれません。 茶屋ヒノスケ 竹内夏音(ナツ) すてられたこども 像を巡る物語
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今すぐ水族館へ行こう(1993年夏) ツナギ(1993年) シンクロ(1994年秋) カナメロ(2001年) 黒川の手帳(2002年) 海雪(2003年) 蜜月旅行(2003年) あなたは望まれて生まれてくるの(2004年) あまねおの誕生(2009年) 海音々(2010年)
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RRRRRR... RRRRRR...... 『はいもしもし』 『やあ、僕だけど、元気?』 『まったく、どちら様が何様のつもりだ』 『なあに? まさか、わざわざ、僕と君の友情の間にイチイチ名乗りが必要だとでも?』 『電話をかけたらまず名乗る。ご両親には教わらなかったか?』 『ははっ、生憎と父に教わったのは帝王学くらいのもんでね』 『これだから貴族サマは!』 『ああでも、メアリには言われた気がするかも』 『誰だよそれ』 『乳母、かな。何度か話したこともあると思うな』 『乳母、ねえ。乳母。乳母! これだから貴族サマは! ていうか、教わってるだろ。ほら、ちゃんと名乗る名乗る!! 最初っからやり直すぞ。 はいもしもし』 『ああでもね、メアリが言うには、 “電話に出たらまずもしもし、その次に自分から名乗って、最後にどなたか尋ねなさい” だってさ』 『……………………』 * * * RRRRRR... RRRRRR...... 『……はいもしもし。ギュスターヴですが、どちら様ですかね?』 『やあ、もしもし。僕だよ、エルヴィン。元気?』 『ああお前か。元気かどうかわざわざ聞くほど、時間が経ってるわけでもなかろうに』 『ま、社交辞令だからね、大目に見てちょうだいな』 『いっつも思うんだがな、一応お前だって、貴族なんだろ。 庶民にほいほい電話なんざかけていいもんかね。貴族の風格、落ちるぞ』 『ただでさえ没落貴族の上に、家なんて継げない継がない放蕩五男坊だよ? 誰もそんなこと気にしないってば』 『そうかい、自称没落貴族サマ。 それにしても頻りに電話ばっかりかけてきやがって。お前、他に友達いないの?』 『友達いなくてさみしいのは君だろ、ギュスターヴ』 『じゃあそんなさみしいおれと今度呑みにでも行こうぜ』 『ああいいね待ってました! えー、えー、いつがいい? どこがいい? 他に誰か誘う?』 『いきなりテンションあがるとか気持ち悪い奴だな……』 (その後しばらく続く与太話の後、) 『ああ、ああ! 忘れてた! そういやギュスターヴ、君に用があったんだよ!!』 『はあ? 今更? 別に放っておいてもほいほい電話かけてくるくせに』 『お誕生日、おめでとう!!』 『おう、ありがとう。……まだだけどな』 『もうすぐだよね? 今年でいくつになったんだっけ?』 『歳なんか、そんな重要じゃないだろ、忘れちまったよ』 『だーめーだーよー! そういうのちゃんと覚えておかないと』 『九十代ではあるんだがなあ』 『というわけでギュスターヴ、君にプレゼントがあるんだ』 『げえっ』 『ははは、そんなに嬉しいかこの野郎』 『いい歳した男どうしなのにプレゼントとか、キモっ。キモっ!』 『えー、別にいいじゃん。 とにかくさ、プレゼント、届けに上がるからね、来週末、出かけないでくれよ』 『なにそれ。まさか、ウチくんの?』 『うん、運ぶのもけっこう手間だから、直接行くよ』 『いいって別に。そもそもプレゼントなんていらないし』 『じゃあ来週末だから。おとなしく雁首揃えて待っててね?』 「いやだから別に、……っておい! ちくしょう、切りやがったな、ちくしょうめ!!」 * * * 第一話 ハロー メイ・アイ・スピーク・トゥー・ゲイター、プリーズ? * * * その日、ネコの国の某地方都市は朝から、なんだか雲の陰った一日でありました。 けれども、雨が降りそうな模様では決してなく、ただ曇っているだけ。そんな空をしていました。 昼を過ぎても、空は光を落とさず、いつまでだって塞ぎ込んでいました。 どんより曇天の中を、馬車がことこと、軽快な音を立てて歩いていきます。 道行く人々が、ちらちらと振り返ったり振り返らなかったりして、目で追います。 それもそのはず、街中を歩く馬車は、まったく街中にそぐわない、華美で豪奢な装丁がなされているのですから。 つやめき白く光りを返す黒の車体、まぶしく映える緋色の幌、あしらわれた金細工、曳くは純白の獣。 ただでさえ地方都市、さらにその中心からも外れた市街には、有り余るほどの豪華がそこにありました。 ことこと、ことこと、車は進み、商店街を抜けた住宅地、とある一件の平屋の前で足を止めました。 御者が、すばやい身のこなしで馬車から降り、車体の扉を開きます。 降りたのは、ネコの男性。 ふわふわと柔らかく、しかし厚くないよう上品に揃えられた灰色の毛並に並ぶ、黒い縞模様。 顔つきも凛々しく長身痩躯、眉目秀麗と呼んでまるで差支えなく感じられます。 ダークグレーのスーツは、見るからに仕立てのよく、高級な品です。 左手に黒い傘を持ち、庶民であれば、格の違いというものをまざまざと見せつけられてしまうかもしれません。 男性は、見た目にそぐわず、ぴょいと音でもつきそうなほど軽く、飛び降りました。 御者がむっと彼を睨み、彼は舌を出してにやりと笑います。 先導せんとする御者を右手で軽く制し、単身、平屋へ向かいます。 こんこんとドアをノック、 「もしもし! エルヴィンだよ! ギュスターヴかい?」 大声で呼びかけます。 その大声ですら、曇りのないテノール、美しいものでありました。 「それは、電話での話だろうが……」 地を這うように迫りくるバスと共に出てきたのは、頭二つも三つも彼より大きな男。 深緑色のごつごつした鱗、長く伸びて開かれた大きな口、鋭く走る眼光、なんとも厳つい顔をしています。 背が高いだけでなく、横幅も広く、さらにそれは鋼のような筋肉であり、大男以外、なんと表せば良いのでしょう。 少し足が短く胴が長いようでもあり、非常に太く地を擦る尾を持つ、その人は――ワニ男でした。 「やあ、ギュスターヴ。いつ見てもでかいね!」 「しょっちゅうかかってくる電話のせいで全然そんな気はしないんだが、会うのは久々だな、エルヴィン」 「そうだね。何年だろう? 十年は経ってるはずかな?」 「雨、降りそうか?」 「え、なんで?」 「傘」 「傘?」 「雨だから持ってるんじゃないのか?」 「何言ってんの? 傘なんて差さないよ」 「雨が降った時に差すものが傘に決まってるだろ」 「雨が降ったら車に乗るに決まってるでしょ?」 「変な奴」 「え、僕が変なの? おかしいなあ」 くすり、手を添えて笑うネコ。 「懐かしいね! 見た目こそだいぶ老けたけど、所作やらなんやら、学生時代と変わりないんだから!」 「懐かしいとはいえ、あんまり来てほしくはなかったが……、まあ、上がってけよ」 ワニ男は扉を開けて、一歩身を引きます。けれども、ネコは優雅に首を傾げ、答えました。 「いいんだいいんだ、渡したら、すぐに帰っちゃうから」 「はあ? なにそれ? どういうこと?」 「僕から君へのバースデイ・プレゼントだ。 ……受け取って、くれるね?」 「いや、そんなこと言われても、ぶっちゃけいらんし」 「受け取ってくれ」 「いや、さあ」 「受け取る、ってただ言えばいいんだ」 「どうせ、どんなにおれがいらないって言っても、勝手に押しつけていくくせに」 「じゃあ、受け取ってくれる?」 「ああもうはいはい、受け取る、受け取ります、ありがたく頂戴させていただきますよ!」 それを聞いて、ネコはぱちりと指を鳴らしました。 くるりと振り返る顔は、喜色満面、目いっぱいの笑顔。 「良かった! じゃあ今度こそ、僕から君への、バースデイ・プレゼント、だ!!」 御者が馬車の扉を開けます。 開けられた扉をくぐり、“わたしは、”そっと地面へと降り立ちます。 二人の視線が、“わたしに”集められます。 ワニ男はもはや無表情にすら見える、「あがァ」の声と共に、あんぐりと口と開けた間抜け顔。 ネコ、”わたしの”現ご主人様は、満ち満ち溢れんばかりの笑顔。 ……けれどもその笑顔の目には、涙が浮かんでいるような気さえして。 静かに前へ、扉へと歩いていきます。 ご主人様の後ろにつくと、ご主人様はさっと後ろに回り、両肩に手を当て、ぐっと全面へ”わたしを”押し出します。 「はじめまして、旦那様。わたくし、アマネ、と申します。これから、よろしくお願いいたします」 「プレゼントだ、ギュスターヴ。 ヒトの娘だけど、うちで鍛えられた立派なメイドだ。大事にしてやってくれよ」 身にまとうのは、黒いエプロンドレス。メイド服。 深々と頭を下げ、精一杯愛想よく、にっこり微笑んで見せます。 思えば、ここから、“わたし”――アマネの物語がはじまったのです。 * * * 「あのねえ、ギュスターヴ。僕もう帰りたいんだけど」 「帰すか! 誰がお前単独で帰すか! 返したいのはこっちの方だ!」 「それねえ、ジョーク? おもしろくないってば。わかりづらいもん」 「ほんとまじで……、帰るならこいつも連れて、まとめて帰れええええっ……!!」 その後。 まず、すぐに正気に戻ったワニ、ギュスターヴ様が、ご主人様とわたしを家の中に押し込みました。 御者様が慌てて駆けつけますが、ご主人様の一言「ちょっと話つけてくるから待ってて」に引き下がらざるを得なくなり、 結局、ご主人様とギュスターヴ様とで、話し合いがはじまりました。 「だから、嫌だったんだよ! お前が寄越すものはいつだってろくでもねえんだ! いらんいらん、ヒトなんて絶対いらん!! ほんとまじでそっくりそのまま帰れ!!」 「なんだよ嘘つき。さっき“受け取る”なんて言ったのはどこのどいつだよ。 僕はこの耳で、君が言ったのを、ちゃあんと聞いてるんだからね。従ってもらうよ」 深くソファーに腰掛けゆったり優雅に足を組むご主人様。 浅くソファーに腰掛け足を広げて腕を組んだギュスターヴ様。 話し合いは「受け取れ」「受け取らない」の平行線をたどるばっかりで、収まる様子もありません。 「おれは貴族サマとは違う! メイドもヒトも必要ないの!」 「よく言うよ。 男の一人暮らし。とりあえず今日は、僕が来るからか、片付いてるようだが、普段はそうでもないんだろう? 知ってるよ。学生時代の君のアパート、それからそこの散らかりよう!」 「学生時代ィ? 何年前だと思ってんだ! おれだって一人暮らし長えし、家の管理ぐらいできるようになってるに決まってんだろ!」 「三つ子の魂百まで、とも言うんじゃなかった? ま、よしんば、掃除ができたとしても、料理、昔っから得意じゃあなかったよねえ。 ありあわせでものを作るのが苦手で、気が付けば毎日おんなじものばっかり食べてた、んだっけ?」 「そりゃあ、あの時のおれは貴族サマと違って貧乏学生だったからな、否が応でも自炊せにゃならんかったが、 今やこちとら一発当ててんだよ! メシくらいどこへなりとも食いに行けるわ!」 「せっかくダイニングのある家なんだから活用しようよ……。 というのはおいといてもね、さっき君、一人暮らし長いって言ったよね。 いい人の一人くらい、いないの?」 「あーあーあー悪かったなッ! どうせおれはお前と違ってモテねえよ!!」 ご主人はくすりと笑い、しなやかに、ギュスターヴ様の耳元へ。 そして、指の長い手を添え、そっと囁きます。 「溜 ま っ て る んじゃないのかい?」 ぴくりと動く首、顰められた顔。 「なんてったって、ヒト、だよ? しかも女、だ。 何してもいい、何だってできる、何でもしてくれる。 ……何だって、できるんだよ?」 「てめえッ!」 ギュスターヴ様がご主人様を睨みつけ、ご主人様は翻るように、くるりと立ち上がります。 「ごめん。ごめんね! そういや君は、昔っから、そういうの好きじゃなかったね!」 「なら、最初っから言うな!」 「だから、ごめんってば! ……でもね、ギュスターヴ。まだ、メイドもヒトもいらないって言える? 幸い、部屋なんて余ってるじゃない。一発当たった一人暮らし、お金だってあるんでしょう」 「……おれが、孤児とか拾ってて、部屋も目いっぱい使ってるかもしれないだろ」 「うわっ、ありそう! 君は昔っから、顔は怖くて身体はでかい、ごつくて厳めしい大男。 そのくせ、子供が好きな博愛主義者なんだもんね。行き倒れの子供とか、二人くらいは拾ってそう。 そしたらさ、その子、紹介してくれないかな」 「……すまん、さすがに拾ってない」 「ついでに、嘘なんて到底つけない正直者、そんなところも変わらないねえ」 勢いよくソファーに飛び込んで、背もたれに手を這わせるご主人様。 足に腕を置き、指を組むギュスターヴ様。 「それからね、たぶん、一番君が喜びそうなことなんだけど」 「微妙に嫌な予感しかしないんだが」 「ねえアマネ。君、落ちる前には、どこにいたんだっけか?」 突然話を振られて、少しだけ動揺します。 が、それは決して悟られぬよう、努めて平静に、わたしは答えます。 「ニッポン、という国におりました。 具体的には、ニッポン国の首都、トーキョーという都市にある、郊外の町です」 「ニ、ニッポン!?」 わたしの過去なんて、なんの意味があるというのでしょう? 甚だ疑問ではあったのですが、予想外に大きなリアクションがありました。 「そ。アマネはね、落ちモノの、立派な天然ヒトだ。すごいでしょう? 落ちてきたのを僕が直々に拾って、うちで教育したやつだから、目に見える傷はまったくないよ。そういう趣味はないからね。 だから、ね? 受け取ってよ」 「……な、何が“だから”だ。いらないものはいらない!!」 「もう、強情だなあ、ギュスターヴ。 ここまで押せば、さすがの君でも折れて、もらってくれると思ってたんだけど」 「友人相手に作戦まで立ててくるとはひっでえ奴。 だが、悪かったな、エルヴィン。そうそう負けてなんてやるもんかよ」 「親友だと思ってるからこそ、ばっちり計画に嵌めてやらないと、君には勝てないって知ってるんだよ」 きゅっと首を捻り、ご主人様の黄色い瞳がわたしの方へ。 「ほら、アマネ。こいつが君の新しい主人になるかならないかの瀬戸際なんだから、 そんな突っ立って、掃除すべき所を探してなんかいないで、自分を売り込みなさいな。 掃除すべきところなんてありすぎてありふれてて、逐一探し出したらキリもないよ」 「平然と人んち汚いって言うのやめてくれない? お前んちと比べたら、どこだってごみ捨て場だよ!」 「申し訳ございません、ご主人様。 ええと、旦那様。雑巾とゴミ袋をいただけませんか?」 「いやいやいやいや、デモンストレーションは確かに有用だよ、だけどね? 先にさ、一応言葉で説明しようよ!」 気を取り直して。 「わたくし、アマネは、ヒトでこそありますが、 炊事・洗濯に始まる家事労働、掃除・買い出しまでの家政はもちろん、 保育や介護に至る養護、書類や帳簿などの庶務、ありとあらゆる方面でご主人様をお支えする、“ 一 流 の ”メイドでございます。 ご主人様の友人にも恋人にも家族にも、敵にも悪魔にもなれませんが、 ただ、ご主人様の味方にはなれる、“一流の”ヒトメイドでございます。 どうか、わたしを旦那様のメイドにしてくださいませ」 「まあはじめてにしては良いセールストークなんじゃない? でもさ、まだもうちょっと、できることあるよね?」 「もちろん、わたしは弱いヒトで、さらに脆弱なメスでありますから、お望みとあらば、ご主人様の情欲や暴力衝動を満たすことも、」 ギュスターヴ様の指がぽきりと音を立て、鬼のような形相でご主人様を睨みつけました。 ご主人様は慌てて、わたしに向き直ります。 「違う違う、違うって。いやまあ間違ってはいないけどもね、ほら、ギュスターヴの目が怖いから。あんまりそういうこと言わないで。 それよりもほら、ニッポン、ニッポンだよ」 「ニッポン? ええと、わたしは、確かに、落ちて、まいりましたから……。 そう、あちら側の世界の話も、できると思います。 それから……、ニホン語の読み書きと、わずかばかり、英語の読み書きと、こちらの国の言葉も、少しならば」 「それ! そうだよそれそれ!」 ご主人様がほっと胸を撫で下ろし、ギュスターヴ様は、――わたしをじっと見つめていらっしゃいました。 とび色をした目、黒い瞳が鋭く、縦長に走っております。爬虫類の、鋭い目でした。 わたしは微笑み返してみせました。 「ね? どう? 欲しくなってこない?」 「来――――ない」 「口ではなんと言っても身体は正直なったりしてこない?」 「こない!!」 「ぐぬぬぬぬぬ、手強いぞー」 口ではそう言っても、どことなく楽しそうなご主人様。 あまり、言いたくはなかったのですが、無難な結論を提唱してみることにします。 「あの、すみません」 「なあに、どうした?」 「ご主人様はわたしを手放したくて、旦那様はわたしが不要であるのであれば、 わたしを、別のところに売ってしまえばよいのではないでしょうか」 「うんうんうん」 「残念ながらメスですから、多少値は落ちてしまいますが、それでも、悪い額にはならないと思います。 もし、売るのに抵抗があるのでしたら……」 二人とも、私をじっと見つめていらっしゃいました。 ご主人様は、弧を描く口を貼り付けたように浮かべて。 ギュスターヴ様は、眉間にしわを寄せて、険しい顔で。 「わたし、一人で、……出て、いきますわ。 ご主人様にも、旦那様にも、ご迷惑になりませんように……。 わたしのせいで、お二人に、軋轢が、生まれてしまうのは、申し訳、ありません、ので」 わたしのつたない言葉を遮ることもなく、二人はそのまま座っていました。 少しばかり、静寂が満ちます。 「だって、さ」 「…………」 「出てっちゃうんだって」 「……だな」 「どう思う? 博愛主義のギュスターヴ君?」 「……どうも、こうも」 「僕たちのため、だそうだよ?」 「…………」 ギュスターヴ様は額に手を当て、ふうっと、ため息をつきました。 「…………」 「頑固だなあ、もう。 ここまできちゃったらしかたない、しかたない、ね。 ねえ、アマネ。ちょっと二人だけで話したいんだけど、いいよね」 「もちろん。それでは、外でお待ちしておりますので、終わりましたらお呼びください」 「いや、おれたちが出てけばいいだろ。……行こうぜ」 ギュスターヴ様が立ち上がろうとしました。 まさか、お二人に移動していただくわけにもまいりません。 「いえ、かまいませんわ。どうぞ、そのまま」 それよりも先に、わたしは部屋から出ます。 扉に手を当て、 「それでは、失礼いたします」 ぱたり、静かに閉めました。 * * * 「――、――――――――」 「――――、――――。――――――――」 扉の向こう側では、お二人が何やら、話し合っていらっしゃいます。 そもそも、わたしを伴って話し合う必要は、なかったように思います。 なにしろ、わたしはヒトなのですから。 ご主人様が誰に譲ろうとどうしようと、わたしに知らせる必要は、ないのです。 「――――、――――――」 「――、――お前!!」 語勢が荒くなりました。 ギュスターヴ様の大声が、少しだけ聞こえます。 「――――――、――――――――、――――」 「……ろよ! なん…………こと!!」 その後に続いた叫びともいえる声は、到底、信じられないものでした。 「わかった! わかった……! もら……やる……!」 「だから、頭を上げろぉぉぉ……っ!!」 * * * それから。 “元”ご主人様――エルヴィン様は、零れ落ちてしまいそうなほどの笑顔と「よろしくね、ギュスターヴ。元気でね、アマネ」との言葉を置いて、 また、あのきらびやかな馬車に揺られて、人々の視線を浴びながら、帰っていきました。 この家に残されたのは、わたしと、少しばかりの荷物(服とか日用品の類を少々)が詰まったトランクケース。 それと、家主であるギュスターヴ様――わたしの、新しいご主人様。 「わたくし、アマネを雇っていただき、本当にありがとうございます。ご主人様。 か弱いヒトのわずかな力ではありますが、これから、精一杯ご主人様をお支えいたします」 「ご主人様、ねえ」 顔を一層怖くして、ご主人様がつぶやきました。 ……ずっと思っていたのですが、ご主人様は、表情が読み取りづらい上に、鋭い牙を見せつけるように口を開けているので、 どうしても、顔が怖く思えてしまいます。 「やめねえか、そういうの。普通に名前で呼んでくれていいからよ」 「そういう訳にも参りませんわ。主人の名前を呼ぶメイドなんて、どこにいるというのでしょう?」 「これからここにいればいい。 おれには“ギュスターヴ”っつう、親にもらった立派な名前があるんだよ。 おれは名前を誇りに思ってるし、そんな立派な名前で呼ばねえのは、失礼にあたると思わねえのか」 「そもそも、ご主人様とわたしは、遥かそびえる身分の壁に阻まれているのです。 ご主人様がそのお名前を誇りに思っているからこそ、下賤なわたしが口に出すほうが、無礼なことなのです」 「あー、まったく口が減らねえな、“元”ご主人サマにそっくりだ!」 ご主人様は声が低くて、大きな声を上げると、振動がびりびりと直に伝わるようであります。 それもまた、印象の険しさに直結してしまうのだと思えました。 「いいか、よく聞け。“メイレイ”だ――、おれのことは名前で、ギュスターヴ、と呼べ。いいな!」 「“できません”」 「あがァ」という間抜けな声、そして、いっそう大きく口が開かれました。 ご主人様の目もまんまるとなります。 「ご主人様。わたしはヒトでこそありますが、ご主人様の命令ならなんでもきく奴隷ではございません。 わたしは、“メイド”です。ご主人様をお支えする、“ 一 流 の ヒトメイド”なのでございます。 この身はすべてご主人様のために、この力はすべてご主人様のために、 立派なご主人様であっていただくために、ご奉仕させていただくのです。 ご主人様の命令は、大概ならば聞きましょう。ご主人様のためとあらば、身を粉にしてまでも、果たしましょう。 けれども、それがご主人様のためとならないのであれば、従うことはできません。 ご主人様のためとあれば、ご主人様に反目すらいたします。そうしてこそ、一流のメイドたりえますもの。 そのことで、ご主人様の不興を買うやもしれません。 ですが、そこを曲げてしまっては、ただの奴隷となんら変わりないではありませんか、ご主人様?」 くつくつ。喉の奥から笑い声が響いてきます。 わたしのものでなく、低い声のそれは、まぎれもなくご主人様のものでした。 「そうか。そうか! いいな、こりゃあいい! なんだ、お前――アマネだったな、アマネ、お前、一流のメイドなのか!」 「その通りです、ご主人様。 ……もし、お気に召さないようでしたら、今からでも、追い出してくださいませ」 「いや、いや、追い出す気なんか毛頭ない、なくなった! むしろ、もっと早くそう言ってくれれば良かったんだ。そうしたら、あいつにあんなことさせずに済んだのに」 いや、忘れてくれ、と一言足して。 「だがな、アマネ。それとこれとは話は別だろ? もちろんこれとは“おれの呼び方”。 ご主人様だけはほんと勘弁してくれ。 そりゃああいつは、雲の上の貴族サマだから、名前を呼ぶのも失礼だろうさ。 だがな、おれはそんじょそこらの庶民サマだ。名前を呼ぶのすら失礼にあたるほどいい身分じゃあないぜ」 「ですが、ご主人様――」 「これだけはほんと譲らないぞ、まじで。 そもそもおれなんてご主人様っちゅう器でも柄でもねえしよ。 それに、あいつもご主人様って呼んでたろ? それだと、おれがあいつと比べられてるようで、居心地が悪ィんだ。 誰だって、あいつと比べられたら見劣りしちまうだろ? な、頼むよ、名前で呼んでくれ。これは、命令でもなんでもなくて、ただのお願い、だ」 そう言って、右手で手刀を切り、左目でぱちりとウインク。愛嬌のつもりかもしれませんが、その外見にはあまりにも相応しくない振る舞いです。 ……けれども、その時のわたしは、それがどうしてもおかしくてたまらなくなってしまったのです。 「仕方ありませんね。かしこまりました、ギュスターヴ様」 「おっと、そうだな、サマなんてのもやめてくれよ。ばかにされてるみてえだから。 ……やめてくれるまで、お前を部屋に案内してやらないぜ。ここでずっと、議論でもなんでもしてやるからな。 自慢にもならないが、おれは徹夜、得意なんだ。何時間だって放さないぞ」 「さ、さすがにそこまではできかねます!」 「お、やるか? 単純な我慢比べで、ヒトの女になんか、負ける気がしねえなあ」 あれだけ怖かった顔なのに、にやにやしながら喋る様子――まるで、エルヴィン様と話すときのような――は、 なんだか、妙に身近に、親しみやすく感じるようでありました。 言葉だって乱暴で、顔だって、怖いままなのに。 「それは、困ります。 中に入れて頂かないと、お掃除も食事の支度だって、なんにもできませんもの。……ギュスターヴさ、ん」 サムズアップとにっこり笑顔。 「オーケイ。じゃあとりあえず、案内しようか、おれの城」 トランクケースを持ち上げようとしたのを丁重にお断りして(不服げではありましたが、今度こそわたしの勝ちです)、 ギュスターヴさんの城、……これからわたしが住むことになる、4LDK庭付き平屋一戸建ての奥へ、足を踏み入れました。 * * * リビングダイニング以外の四つの部屋はそれぞれ、書斎、寝室、トレーニングルーム、物置、となっています。 書斎は壁一面が本棚で埋まっており、圧巻でありました。万が一本棚が倒れでもしたら、大惨事を招きそうです。 本棚は、一部の開いているスペースを除き、ほぼ満員で、内容も小説やら学術書やら、どうやら、本に関しては雑食のようです。 机も椅子も、大柄なギュスターヴさんでもゆったり使えるような、大きなものです。 寝室は私室も兼ねているらしく、大きなダブルベッド(「別に下心だけじゃないぞ。尻尾が落ちると重いから、落ちねえように、だ」)の他、 マガジンラックが置いてあったり、ダンベルが落ちていたり、はたまた、弦のついた楽器まで。 あまりじろじろ見るのも失礼だと思い、しっかりとは確認したわけではありませんが。 そしてトレーニングルーム、とは言っても、大掛かりな機材があるわけじゃあなく、ちょっとしたエキスパンダーやらなんやら、 それから、マットが引いてあるくらいのものです。 「運動不足になりがちだからな、太るのも嫌だし」 「健康のためなら、ジョギングとか有酸素運動のほうがよろしいのでは?」 「下手に走ると死ぬからね、体温上がりすぎで」 「変温、なんですね」 「当たり前だろ? ワニは爬虫類だ」 わたしにあてがわれたのは、物置でした。 物置といえども、目立つのはすぐには読まないらしい本くらい。 ガラクタやら保存食やらの類もあることにはありますが、そのままでもわたしが寝る程度のスペースはありそうです。 「悪いな、散らかってて。初仕事はどうやらお前の部屋作りのようだ」 「ヒトなんて所詮、立って半畳寝て一畳。足を延ばして寝る空間さえあれば、どんな場所でも大丈夫です」 「ベッドもなくて申し訳ないが……、ほら、昔使ってた布団があるから、ペラくてショボいが、当面はこれで我慢してくれ」 「ありがとうございます。当面と言わずとも、これで十分です」 「よし、まずとっとと片付けちまおうぜ」 「いえ、それには及びません。大丈夫ですから」 「何を言う。寝場所の確保は大事だろ」 「わたしの部屋なんか後回しでかまいません。それよりも、それよりももっと気になるところが……!」 その家の中を一言で表現するなれば、まあ、一人暮らしの男性の家と聞いて想像するところそのまんま、ではないでしょうか。 全体的に埃っぽくて、物が散乱、もしくは積み重ねられている状態。脱いだ服だってそのまま落ちています。 足の踏み場があるのが救いといいますか、むしろ、足の踏み場以外はひどい有様といえます。 エルヴィン様が通されたリビングだって、一見片付いてはいましたが、散らかったものを奥に押し込めて隠していただけのようです。 唯一整理整頓がなされているといえそうだったのは、書斎くらいのものでした。 ……ただしデスクを除きます。なぜだか机の上だけは、本やら紙やらが暴力的に積まれていました。 だのにキッチンばかりは、水あかもなければ生ごみが臭うこともなく、埃以外は、概ねきれいな様子です。 最後に掃除をしたのはいつかと尋ねれば、 「あー……、いつだろうなあ……」 と気が遠くなるようなお返事。少なくとも、とてもやりがいのある仕事ではありそうでした。 それは、今すぐにでも取り掛からないといつまでたっても片付かないような、脅迫でもありました。 * * * 「おれは鱗だからシャンプーなんてものこの家にはないがしかし、いくらなんでもアマネ、お前には必要だろ。 必要そうなもの買ってくるから、とりあえずなんか考えて教えてくれ」 仕えるべき主人を使いに出せるわけがありません、なんて抗議をしてみれば、 「おれはただでさえ近所付き合いの悪い変人で通ってるんだよ! ヒトを囲ってるなんてバレてみろ、既に残念な評判が地の果てまて落っこちるだろうが! そこまで他人の目なんて気にしねえが、それにも限度ってもんがある。 悪いが、しばらくの間は外には出ないでくれな。洗濯もんを干すものおれがやる」 とのこと。 もちろんお願いとしても申し上げてみるのですが、同じく「ダメだ」の一点張り。 結局、根負けしてしまうのはこちらで、ギュスターヴさんにはお使いに行っていただくこととなりました。 その間にわたしはお台所の水回りを掃除し(多少の油染みを落とす以外は水拭きと食器洗いくらい)、 ちょうどそれが終わるころに、ギュスターヴさんがお戻りです。 「おかえりなさいませ」 「……おう、ただい、ま」 なんだかこそばゆそうに靴を脱ぐギュスターヴさん。 「今から夕食の用意をいたしますね」 「ん、ああ。じゃあ頼むわ。書斎にいるからできたら呼んでくれな」 「かしこまりました」 * * * わたしは、料理が得意ではないと思っています。 それでも、料理をすること自体は好きなのかもしれません。 食材を切るのも味をつけるのも、煮たり茹でたり炒めたり揚げたり、作っている間は、何も他のことを考えていないからです。 料理をしているときは、それに夢中なのでしょう。 夢中になれることは、好きなこと、ではないでしょうか。 少しだけ魔洸調理器具の扱いに手間取り、時間がかかってしまったのですが、なんとか今日の夕食が出来上がりました。 鶏の唐揚げと野菜たっぷりのスープ、半熟卵のサラダ、アスパラガスのベーコン巻、です。 ……黒いパンには合わないかもしれない、と気づいたのは、唐揚げがすっかりきつね色に揚がった頃でした。 一番問題だったことといえば、ギュスターヴさんがどれだけ召し上がるかわからない、ということです。 そもそも男性でありますし、さらにはあれだけの巨体ですから、それはたくさん召し上がるでしょう。 けれど、“たくさん”とは、具体的にはどれくらいなのか、わたしにはわかりませんでした。 とりあえず、いざとなればわたしが食べれば良いですし、足りないよりかは余る方が良いと思い、 大きな平たいお皿に山積みできるくらいには作りました。が、いくらなんでも多すぎるだろうと苦笑がこみあげるものです。 テーブル上で唐揚げが山になっている姿は、いっそ滑稽でもありますが、子供の頃の夢が叶った気分にすらなれるようでした。 けれども、ギュスターヴさんの反応は、わたしの想像とははるかに異なるものでした。 「ん? お前の分は?」 テーブルにあるのは、標高30cmの唐揚げ山、白いボウルに映える緑のサラダとスープカップ、小皿のアスパラ、あとスライスした黒いパンが、一人分。 すべて、ギュスターヴさんのための料理です。 「わたしは後でいただきます」 「はァ?」 頬が強張って、ぴくぴくと震えています。鋭い歯がちらちら伺えます。眉間には固く寄せられた皺。 「当然です。メイドは、主人とは別に食事をとるものです」 「いい加減に――――」 振りかぶられた腕――。 ぶたれる、そうわかっても、動けないわたしがいます。 揃えられた指――。 かろうじて、首が縮こまり――、 ……指が、揃ってる? へんなの。 「しろッッ!!」 「いたっ」 こつん、と頭に当たる程度のチョップ。 肌がびりびりするかと思うほどの怒声に伴うものとは、到底考えられない、優しいものでした。 「やれ名前を呼ぶのは失礼だ、やれ一緒にメシを食うのは失礼だ、いい加減にしろ!! メイドだって言い張るのはそういう意味か! おれの期待を返せ!!」 ええ、確かに、体罰だとはとてもじゃなく呼べないチョップではありましたが……。 わたしの髪はちょうど、頭の正中に分け目がありまして、その分け目にぴったり沿う形でチョップをいただいたのです。 「同じ家にいるのに一人メシとかまじ冗談じゃねえっての! どんだけさびしい奴だおれはよお! なんだなんだ、そんなにおれとメシ食いたくねえってか! そりゃあおれは醜男だよ!! でも一緒にメシくらい食ってくれたっていいじゃねえか! 懇談しろとは言わな、言わな……、……喋りつづけろとは言わないから!」 さらには、いくら優しくとも、そもそもギュスターヴさんは体格の良いこの世界の男性であり、その中でも相当筋肉質です。 手は鱗でごつごつ、腕だって常に筋肉が盛り上がって見えているのです。 「あーあーあーあー、うまそうないい匂いはするしニッポン生まれのヒトだっていうし、割と楽しみだったのに、お前という奴は、 …………ん? あれ、おい、えっと、もしかして――」 痛かった? ……痛かったです。 「こんなもんで痛いのか。さすが噂通りの弱々しさ、なのか?」 「せめて、髪があるところだったら、もっとずっと大丈夫だったのですが、 ちょうど分け目に当たってしまい、皮膚に直接だったので、痛かったです」 「なるほど、分け目チョップが有効……。あ、いや、謝るさ、すまんな。 でも、何も酷いことしようとしてるわけじゃないんだぞ。一緒にメシくらい食おうぜ、な?」 「……うまい反論が、もう、思いつきませんし、痛くて。 きっと、何を言っても、押し返されてしまうのでしょうね」 「……そんなに痛むか?」 「すぐ、慣れますから……」 「じゃあほら、メシだメシだ。あー腹減ったー!」 「その、ギュスターヴさん」 とび色をした目は、もう怒気で歪んでいません。 「申し訳ございません」 「謝るくらいなら最初っからこうしておこうぜ」 「そうですね。……申し訳ありませんでした」 一人暮らしだというのに四人掛けの食卓、どこに座ればいいのかわからなくて、逡巡します。 それを見て、というわけではないかしれませんが、顎でしゃくられたのは、ギュスターヴさんの正面の席。 失礼します、と椅子に座って。 「よし、それじゃあ、いただきます」 「あ、はい、……お口に合うかはわかりませんが」 * * * 食事風景は、まさしく圧巻のひとことだと思われました。 フォークでぐさり一突きされた唐揚げが、ほいほいと口の中に吸い込まれるように消えていきます。 確かに口が大きいから、当たり前ではあるのですが、何個も何個も一度に口の中へ入っていく様は、ある種恐怖すら覚えます。 フォークから引き抜く際、首を使わずに身体全体を動かして引き抜くので、非常にアクティブです。 そういえば、あっちの世界のワニは噛む力がすごく強い、なんて知識を思い出しました。 ざくざく野菜を刺して、そのフォークすらも食べてしまうかのように、大口の中へ。 パンだって、背を反らして噛み千切り、ダイナミックな食べっぷりでした。 「うまっ、……なにこれうまいっ!」 「やばい、人間とっさの出来事に対しては語彙がやばくなる、やばい、うまーい!」 「肉柔らか、柔らかっ、うめー!」 「九十余年の人生でこんなうまいからあげを食べたことなんぞない。うまうま」 むさぼりながら、口々に絶賛されてしまいました。 「アマネ、お前、料理上手だったんだな」 「ありがとうございます。けれど、そんなことありませんよ。むしろ苦手だと思っています」 「お前が料理下手の部類に入るなら、この世の人間はほとんどがド下手だぞ。 普通に店で金出して食べても十二分に満足できるレベルだと思うが」 「それは、言い過ぎです」 「むしろこんな陳腐な言葉でしか表現できない自分が憎くてたまらない」 「……ありがとうございます」 物を食べながらでも、ギュスターヴさんはべらべら喋ります。 その時、口元を左手で隠すのが、妙に似合いませんでした。 「……そんな風に、褒められるのは、……初めてです」 「はあ? おれ以外は誰もいないの? ありえん」 「大概は無反応で、却って貶す方もいましたので」 「まじで? 見る目が、いや、味わう舌がないやつらばっかりだな!」 「言いにくいのですが、ギュスターヴさんの味覚のほうがズレているのかもしれません」 「ない、それはない。アマネの料理は絶対うまいってまじで」 「……ありがとうございます」 「……明日からも、頼むな」 「もちろん。わたしは一流のヒトメイドですので」 「はいはい期待してるぜ、メイドさん」 ここまで熱心にではないけれど、昔は、褒めてくれる人もいたんですよ、とは言えませんでした。 でもその人たちも、だんだん、だんだん何も言わなく、言ってくれなくなるんですよ。 ですから、きっとそのうち、ギュスターヴさんもそうなると思いますし、それでいいとも思っています、だなんて。 「よし、ごちそうさま」 「お粗末様でした。……え?」 「いやあ、うまかったー。大満足」 「え? 全部食べちゃいました?」 「ああ。もしかして、足りなかったか?」 「いえ、いえ、別にそういうわけではなくて」 「ならいいが。んあー、腹いっぱい」 「そうですよね! すごく気に入っていただけたようですから、食べ過ぎただけですよね」 「いや、いつもこれぐらいは食ってるかなあ」 「……ああ、とてもたくさん、召し上がるんですね」 「むしろアマネ、お前こそ、全然食べてないんじゃないか? もっと食え、もっともっと」 「ヒトが食べる適切な量ですっ」 * * * 食事が終わって、後片付けが終わって、 「おいアマネ、お前が次に言うことを当ててやろうか。 まあ次とは限らなくて、最終的に今日中には確実に言うこと、なんだがな。 ずばり、『それでは、わたしは部屋に戻りますので、何かございましたらどうぞお呼びください』だ。 “おれを名前で呼ぶのが失礼”で、“おれとメシ食うのが失礼”なら、“用もなくおれといるのだって失礼”なんだろ、どうせ。 そんなもんくだらねえとは思うがな、結局なんだかんだでお前はここに、 この家に暮らさなきゃいけなくなった以上、好きにふるまっていいっていうのにだ。 掃除に疲れたら居間でごろごろしようともかまわないのに、掃除に飽きたらテレビを見て休憩してもかまわないのに、 掃除にくたびれたらおれの本だって勝手に読んでもかまわないのに、 アマネ、お前は物置みたいな、実際物置だったが、そんなろくでもない場所にひきこもるんだろ、な、そうだろ」 ギュスターヴさんが因縁をつけてきました。 怒り顔と、呆れ顔と、それからどや顔がまざったような、よくわからないような表情を浮かべています。 けれども、その顔もしかめっ面にはかわりなく、最終的には怖い顔、ということに落ち着くのです。 「それが、メイドというものです。陰からご主人様をお支えするのがメイドの役割です」 「目いっぱい異論があるんだが、いちいちそんなことで文句つけたら切りがない。さらにはおれがヤな奴みたいだからな、もう何も言うまい」 引き下がるギュスターヴさん。 けれどもその目は爛々と光っていて、口元は弓のように歪んで、ついでに開いています。 「……ええ、それでは、失礼いたします」 「待て、そうは問屋が卸すまい。お前に、もうひとつ仕事を頼みたい」 「ならば、先にシャワーを浴びた方がよろしいで――」 「分 け 目 チ ョ ッ プ !」 痛いです。 「くだらねえことほざいてんじゃねえよ!!」 「申し訳ありません……」 「まあいい、とにかくちょっと、ついてこい」 向かう先は、ギュスターヴさんの書斎でした。 「書斎、ですか。何か片付けとか――」 「ちょっと待ってろ」 本棚の端の方、ギュスターヴさんが本を調べています。 「ニッポンだろ、ニッポン」 目的のものが見つかったのやら、ギュスターヴさんがくるりと振り返り、手にした本を開き、わたしの眼前へとつきつけました。 「読める、な?」 「ちょ、ちょっと、近いです」 本を受け取ります。少し小さめで、あまり見ない大きさをした薄めの本です。 開かれたページには、縦書きの文章。 「よいち、かぶらをとってつがい、よっぴいてひょうどはなつ。こひょうと――?」 いふぢやう、十二束三伏、弓は強し、浦響くほど長鳴りして、あやまたず扇の要ぎは一寸ばかりおいて、ひいふつとぞ射きつたる――? 添えられた挿絵。海の中、弓矢を構えた鎧の男。見据えるは沖の舟、女が高く掲げる一枚の扇――。 「…………平家物語!?」 ページを捲りました。 次に現れたのは、女性を負ぶった烏帽子の男、その挿絵。 「――白玉か、何ぞと人の、問いしとき」 ――露と答へて消えなましものを。 「伊勢物語……」 ページを捲ります。 「今は昔、比叡の山に児ありけり。僧たち、宵の――」 つれづれに、「いざ、かいもちひせむ。」と言ひけるを、この児、心寄せに聞きけり――。 「児の、そら寝」 本を閉じます。 独特のコーティングがなされた、つやのある手触り。表紙は大きく開くために折り目がつけられています。 見たことのある、見慣れた、もう見たくないとも思えた、タイトルは――。 「……新・古典、一」 それは、古典の教科書でした。 「読めるな、読めるんだな!」 ギュスターヴさんが真剣な面持ちで、わたしの肩を掴みました。 けれどわたしの視線はギュスターヴさんの向こう側――本棚の一角へ。 教科書が収まっていた分だけスペースの空いた本棚に並ぶ、本、本、本……。 文庫本、新書サイズ、ハードカバーまで、まったく装丁には共通項の存在しない本が並んでいます。 「お前に頼みたいもうひとつの仕事――、それは本来のメイド業務からは大きく外れるものであるだろう」 共通項の存在しない? いいえ、一見ばらばらの本にも、一か所に集められる理由は確かにあるのです。 そしてそれは――、一目見て、わかる類のものなのです。 「だがな、アマネ、それはおれでなくあいつでもなく、お前のような、落ちてきたヒトでないとできないことなんだ」 共通点は、背表紙の文字。その棚の本は、すべて“かなと漢字”で書名と作者が記されています。 その上の棚には、ラテン文字の――アルファベットの本が。 また別の棚にはハングル、中文、他にも様々な“あちら側”の文字が! 「仕事内容は単純に、“おれの仕事の手伝い”。それではその“おれの仕事”だが――」 さらに別の棚から、また本を取り出して、ギュスターヴさんが近づいてきます。 「この通り、だ」 手にした一冊の本、それはもはや見慣れたこちら側の文字が書かれています。 著者名は、“ギュスターヴ”と。 「……エルヴィン様から伺っておりました」 あのね、ギュスターヴは、小説家なんだよ。人好きのする笑顔が脳裏に蘇りました。 ギュスターヴさんが舌打ちをします。 「くそっ、嫌味なやつめ。 ……確かに、おれは小説“も”書く。“副業”小説家、だ」 手にしていた本の裏から、もう一冊、本が現れました。もともと、二冊を重ねて持っていたようです。 それも、こちら側の言葉で書いてあるものでした。 先ほどとは違うのは、著者。わたしは、記された名前に心当たりはありません。けれど――。 「本業は――」 著者名の隣にあるのは、またもや“ギュスターヴ”。その肩書きは――。 「 翻 訳 」 訳 者 。 「おれは、落ちモノ文学の翻訳家だ。 落ちてきた書籍に魅入られて、そのため大学へ入り、それの研究をし、そして今、訳している。 おれはプロだ。こちらでは有数の翻訳家だと自負している。 だがしかし、それはあくまで“こちらでは”の話であって、まだまだ力及ばぬところも多い。 おれは向こうの物語が好きだ。こっちでも、その魅力を存分に伝えたいと思ってる。 そのために、お前の力が必要なんだ。メイドのやることではないかもしれない。 だけど……、頼む。おれに、協力して、ほしい」 とび色の虹彩、縦に割れた瞳孔が、深く、わたしを貫いて。 何か言葉を、何か行動を、しようと思えば、言葉が音になる前に、行動が動作になる前に、強い視線に射抜かれ、墜ちていって。 時間が、まるで、止まってしまったかのように、呆けて、わたしは、ただただ、ぼうっと見つめるしかできなくて。 部屋いっぱいに満ち満ちたいろんな背表紙が、わたしたちを見下ろしていました。 Bu...u...u...u...
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登録日:2012/06/02(土) 23 00 03 更新日:2023/07/16 Sun 23 02 19NEW! 所要時間:約 8 分で読めます ▽タグ一覧 アズサ クロケア ショウロ ニシキ パソコン ボックス ポケットモンスター ポケモン ポケモンボックス ポケモン登場人物項目 マサキ マユミ マーレイン ミズキ ユカリ 管理人 預かりシステム 【概要】 『ポケットモンスターシリーズ』でお馴染みの機能「ポケモン預かりシステム」。 主にポケモンセンターにあるパソコンから利用できる。 ゲーム中では主人公が勝手に接続するので意識が薄いが、これらは特定の人物の運営のもと成り立っているシステムである。 ジョウト地方以外のそれぞれの地方に最低一人はいる。 預かりシステムはゲーム開始当初は誰かのパソコンという表記で、彼らに会う事でマサキのパソコンといった管理人の名前の表記になる。 但し、ソード・シールドのガラル地方は『ロトミ』が管理しており、スカーレット・バイオレットのパルデア地方ではパソコンがなくなり『ポケモンボックス』が主流になった為、ソード・シールド以降は人間の管理人が存在していない。 また、マユミやミズキの公式の絵はポケモンカードのイラスト(杉森建氏によるもの)で初公開となった。 ポケスペでの彼女らはこれに準拠した容姿。 ポケモンカードゲームでは預かりシステムのイメージからか、どれもデッキからドローやサーチをするカードである。 【歴代の管理人】 ◆カントー地方 マサキ 名前の由来は『柾』。 原点。初代から登場。 転送・預かりシステムの開発者であり、カントー地方及びジョウト地方での管理人でもある。 金・銀・クリスタルではタイムカプセルも作成した。 名字は「ソネザキ」で、1996年時点から既に確認出来る設定。 自分自身は岬の小屋、父親と祖父はセキチクシティ、母親と妹はコガネシティの実家に住んでいる。 実家があるコガネシティのフラワーショップの店長に惚れているとか。 ポケモン評論家(アナリスト)で、オーキド博士のセンスを否定したり、ポケベルにミュウ情報が入ってきた時は講義を中断して飛んでいった。 ポケモンカード 〇マサキ 自分の山札からカードを2枚引く。 〇マサキの転送装置 コインを1回投げ、「おもて」なら、自分の山札からカードを4枚引く。 〇マサキのパソコン(キャンペーン用カード) このカードは、「オムナイト」「ゴースト」「ゴーリキー」「ゴローン」「ユンゲラー」のうちの1枚のカードを、 それぞれに対応した進化カードに交換するのに必要となる。 ニシキ 名前の由来は『錦木』。 リメイクから登場。 ナナシマでの管理人。眼鏡をかけている。 マサキの友人だが、研究開発の手腕はまだ成長途中で、大元のシステム開発者であるマサキのことを尊敬している様子。 イラストやドット絵だと性別が分かりにくいが、一人称が「オレ」であるため男性である。 1の島のポケモンネットワークセンターにおり、ネットワークマシンを開発している。 カントーとナナシマは距離があるため、マシンが完成するまではナナシマでボックスは使えない。 主人公にトライパスやレインボーパスを授けたり、ネットワークマシン完成の為にルビーとサファイアを持ってくるよう頼んだり、持ちつ持たれつの関係。 彼の発言から、マユミとも知り合いらしい。 ポケモンカード 〇ニシキのネットワーク 自分の山札から、ポケモン(ポケモンexはのぞく)を1枚選び出し、相手プレイヤーに見せてから、手札に加える。その後、その山札を切る。 ◆ホウエン地方 マユミ 名前の由来は『檀』。 ルビー・サファイアから登場。 114番道路に家を構える女性。ホウエン地方での管理人。 眼鏡をかけた赤毛の女性。 最初はハジツゲタウンでパソコンをいじっており、その後彼女の家を訪ねるとドールが貰える。 RS以降のボックスの見やすさは彼女の手によるものであり、 彼女のパソコンを見るとマサキからマユミへ賞賛のメールが届いている。 ポケモンカード 〇マユミのネットサーチ 自分の山札から、3タイプまでのたねポケモンを、それぞれ1枚ずつ選び出し、相手プレイヤーに見せてから、手札に加える。その後、その山札を切る。 アズサ 名前の由来は『梓』。 『ポケモンボックス ルビー&サファイア』から登場。 マユミの姉。 容姿はポケモンボックス内で登場している通り、マユミと似た髪色でショートヘア。 1500匹のポケモンを収納出来るポケモンボックスを管理している。 ポケモンを預けていくと、みねうちチルットやなみのりピチューといった特別な技を覚えたポケモンのタマゴをプレゼントしてくれる。 後に『ポケモンバンク』において新デザインで再登場。 リメイクのフラグでは、と言われていた。 そして実際に『オメガルビー・アルファサファイア』が発表された。 ◆シンオウ地方 ミズキ 名前の由来は『水木』。 DPtから登場。 ヨスガシティにてシンオウでの管理人をしている。 金髪でポニーテールの軽装の女性。 マサキの友人で、関西弁(コガネ弁)である。 マサキから貰ったイーブイを主人公にくれる。 ポケモンカード 〇ミズキの検索 自分の手札を1枚、山札にもどす。 自分の山札のポケモンを1枚、相手プレイヤーに見せてから、手札に加える。その後、山札を切る。 (自分の手札がこのカード1枚だけなら、このカードは使えない) ユカリ 名前の由来は海藻の『紫』もしくは『ユーカリ』。 『みんなのポケモン牧場』から登場。 ミズキの友人。ポケモン牧場のオーナー。 厳密にはボックスの管理人では無いが、牧場は第四世代における『ポケモンボックス』と言えるので記述。 茶髪で左目の下に泣きぼくろがある女性。 杉森氏によるイラストも描かれている。 自身が経営するポケモン牧場を思いっきり「Wiiの中にある空間」と言った。 指定のポケモンを連れていくとポケモン交換を持ちかけてくる。 特定の条件を満たすとフィオネやミュウ等、幻のポケモンを交換してくれる。 ポケモン牧場の配信日の11月18日が彼女の誕生日として設定されており、その日に起動して条件が整うとお祝いイベントがある。 ポケスペにも1コマ描かれている。 とある原因で空間が歪んだことで、友人のミズキと会っていた。 ◆イッシュ地方(BW1・BW2) ショウロ 名前の由来は『松露』。 ブラック・ホワイトから登場、続編にも登場。 ポケモントレーナーの研究をしている事で有名なマコモ博士の妹。イッシュでの管理人。 姉と共にサンヨウシティに住んでおり、眼鏡をかけている。 彼女はマコモのイベントをこなす際に友達手帳をくれるが、こちらから話しかけないと預かりシステムの管理人である事は分からず、誰かのパソコン表記のまま。 ちなみにシナリオ終盤のNの城にて、プラズマ団が預かりシステムからポケモンを解放する準備が整ったと話す。 ショウロの管理が脆弱なのか、プラズマ団の技術が凄いのか…… BW2ではマサキと思しき知り合いから譲ってもらったイーブイを主人公にくれる。 まだカード化はしておらず、公式絵も判明していない。 ◆カロス地方 クロケア 名前の由来はニシキギ科の『カッシーネ・クロケア』。 XYから登場。 マサキに頼まれてカロスの預かりシステムを管理している青年。 コボクタウンにひっそりと住んでいるが、見た目はパンクでロックなアニキ。 カードのイラストによれば赤縁眼鏡をかけている。 ポケモンカード 〇クロケア 自分のポケモンを1匹選び、そのポケモンと、ついているカードを全て山札に戻す。その後、山札を切る。 ◆アローラ地方 マーレイン 名前の由来はハーブの仲間である香草『マレイン』。 サン・ムーンから登場。 アローラでの管理人。 天体観測所で働く青年。マーマネの従兄弟でありククイ博士の友人。元キャプテン。 ゲームをするのが好き。シリーズの管理人の中で初めて主人公にポケモン勝負を挑んでくる。はがねタイプの使い手。 ストーリー中で必ず出会うが、本作のパソコンは調べると直接ボックスに繋がるため、名前を見ることができない。 ウルトラ版ではなんと四天王に出世している。 追記・修正お願いします △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- ▷ コメント欄 [部分編集] 作をおうごとに影が薄くなる印象 -- ポケモン (2013-11-05 19 25 12) ↑基本寄り道しないと会うことすらないからなぁ…。アズサァ!は色んな意味で印象強くなっちゃったけど -- 名無しさん (2014-01-18 13 19 57) アニメにもマサキ以外でてないしなあ 姉のマコモは出てもショウロは出ないし -- 名無しさん (2014-01-18 13 39 07) 大元のシステムを作ったマサキが一番凄いし他のやつは出来て良いように拡張するくらいしか出来ないから目立てないんだろ。 -- 名無しさん (2014-01-19 18 12 22) どこからでもアクセス・利用できるクラウドコンピューティングの先駆けだって誰かが言ってた -- 名無しさん (2014-03-24 01 48 05) クロケアってメガネかけてんのな -- 名無しさん (2014-05-09 22 02 05) ポケモントレーナーが最も感謝すべき存在 -- 名無しさん (2014-10-03 16 17 31) しかし、よく主人公達は誰が管理しているのかも分からないところに自分のポケモンを預けられるよなぁ…。 -- 名無しさん (2014-12-24 19 41 22) つーかクロケアなんて今この記事を読んで初めて知ったのだが -- 名無しさん (2014-12-31 10 54 21) ショウロちゃんの公式イラストが待たれる。ポケスペには出てるのね -- 名無しさん (2015-09-17 18 55 13) マサキさん顔広いな -- 名無しさん (2015-10-22 14 12 32) ユカリのデザインはMii先行なんだとか -- 名無しさん (2016-07-18 21 35 28) ポケスペでのクロケアとかいうぐう聖、それまでの大人キャラが信用できなかったりする中初めて頼りなる大人キャラとして登場した -- 名無しさん (2016-11-30 03 36 16) マサキ以外だとアズサ・マユミ姉妹がとびぬけてるな。ボックスのビジュアルの基礎を作ったマユミと時空間すら超越するバンクムーバーのアズサ・・・。 -- 名無しさん (2017-05-26 17 37 52) マーレインは久々に目立つ管理人だったな -- 名無しさん (2019-06-23 12 22 14) 剣盾って管理人にあたるキャラ出てきたっけ…?ボックスの運営もマクロコスモスなのか? -- 名無しさん (2019-12-31 11 13 14) 別にいてもいなくても良いようなポジションのキャラなんで剣盾ではいなくなった模様 -- 名無しさん (2020-01-09 19 46 27) あれだけ居るトレーナーが頻繁にアクセスしてる(或いは捕獲の度に送られてくる)のに一度も鯖落ちしないとかすげえな……定期メンテナンスとかも無さそうだし…どう維持してるんだろ… -- 名無しさん (2023-07-16 23 02 19) 名前 コメント
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ハナダの岬の小屋に暮らしている。 ポケモン転送・預かりシステムの開発者で、カントー地方(ナナシマ除く)とジョウト地方のネットワーク管理者。 加えてポケモン評論家・「ポケモン協会」役員でもある。 コガネシティ出身で関西弁(コガネ弁)で話す。普段はハナダの岬にある小屋に住んでいる。 若いながら数々の教育機関を次々と卒業していき、言うなれば“飛び級”をして大学を卒業しており、かなり頭が良いと思われる。 ポケモン転送マシンを作ったのも彼であり、カントー中のトレーナーのポケモンを預かったり転送したりしている。 トキワの森のポケモンの生態系を調べている時にイエローに出会い、そのまま四天王戦に巻き込まれるように。 生死さえ不明だったレッドが生きていることが分かったのも、彼の作った転送マシンがあったからこそだった。 その後ブルーとイエローに合流し、スオウ島へと乗り込んでマチスと共にシバと戦った。 その後はポケモン転送マシンの原因不明の故障に悩まされ、カントーとジョウトを行ったり来たりしていた。 その間の措置として携帯転送システムを開発し、クリスタルの旅を助けた。 セキエイ高原にてついにその不調の原因が判明し、ライコウのエネルギーによって一時的に復活させた。 復活した転送マシンによって全国のポケモンをウバメへ送ることが可能になり、我を忘れていたルギアとホウオウを鎮まらせた。 その時の縁から、現在ナナミと共に暮らしている。 その為かグリーンからはあまり快く思われていない様子。 23巻では転送システムの不調からナナシマへときていたが、その中でロケット団との争いに巻き込まれることに。 仲間であるニシキ・アズサ・マユミと連絡をとりあい、レッドたちの補佐をしている。 第5章では5の島のロケット団倉庫でロケット団員達を倒している事から、バトルの実力は一般トレーナー以上である。 また、1章時点で15歳である。 誕生日 12月31日 血液型 O型 手持ち ロコン ナッシー コイキング カモネギ
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武器種別キャラステータス 射程1 剣 槍 斧 竜 獣 射程2 弓 暗器 魔道 杖 獣キャラステータス一覧 すべて「★5」レベル40」「得意・不得意なし」の値。「得意」は+3~4、「不得意」は-3~4される。 ()内は武器スキル・紋章スキルを含めた数値。 数値の青字は得意で+4、赤字は不得意で-4となるステータス。 赤属性 キャラクター 登場 移動 HP 攻撃 速さ 守備 魔防 合計 備考 エンブラ 41 43(57) 44 31 24 183(197) キサ(正月) 45 39(53) 26 41(44) 30 178(195) 賀正の銀虎の爪牙:守備+3 ティバーン 41 38(55) 31 34 18 162(179) 鷹王の嘴爪:攻撃+3 ニケ(ハタリ) 40 39(53) 43 35 25 182(196) ニシキ(正月) 41 35(49) 39(42) 25 28 168(185) 賀正の妖狐王の爪牙:速さ+3 ネサラ(海賊) 42 39(53) 43 23 25 172(186) フランネル 45 41(50) 24(19) 38 19 167(171) 人狼王の爪牙:速さ-5 フロージ(水着) 41 38(55) 16 38 35 168(185) 夏夜の夢の角:攻撃+3 ベルベット(正月) 40 41(55) 44 32 21 178(192) レテ 41 33(47) 38(41) 26 19 157(174) 剛なる戦猫の爪牙:速さ+3 青属性 キャラクター 登場 移動 HP 攻撃 速さ 守備 魔防 合計 備考 アイト 40 44(58) 46 33 16 179(193) アシュ(正月) 41 44(58) 19 44 40 188(202) キヌ 35 29(43) 38 19 35(38) 156(173) 妖狐娘の爪牙:魔防+3 シャンブレー(正月) 40 43(57) 40(43) 35 21 179(196) 賀正の子兎の爪牙:速さ+3 ニケ 40 31(45) 37 32 23 163(177) ネサラ 39 32(46) 38(41) 24 29 162(179) 鴉王の嘴爪:速さ+3 ネルトゥス 40 42(56) 47 30 20 179(193) フロージ 41 46(60) 16 41 35 179(193) ベルベット 41 29(43) 34 30 23 157(171) ベロア(正月) 41 38(52) 40 34 23 176(190) ムワリム 45 43(60) 40 31 23 182(199) 暴走の虎の爪牙:攻撃+3 モゥディ 47 37(51) 24 39(42) 20 167(184) 虎戦士の爪牙:守備+3 ラタトスク 40 44(58) 46 34 21 185(199) ラフィエル(花婿) 38 28(42) 35 20 41(44) 162(179) 白鷺花婿の翼:魔防+3 緑属性 キャラクター 登場 移動 HP 攻撃 速さ 守備 魔防 合計 備考 エルム(正月) 41 40(54) 45 27 31 184(198) シャンブレー 40 35(49) 33(36) 32 17 157(174) タグエルの子の爪牙:速さ+3 ニケ(花嫁) 40 35(49) 41 31 25 172(186) ニシキ 38 32(46) 36 25(28) 25 156(173) 妖狐王の爪牙:守備+3 フランネル(正月) 48 41(55) 24 43(46) 20 176(193) 賀正の人狼王の爪牙:守備+3 フレイヤ 40 38(52) 44(47) 24 22 168(185) 悪夢の女王の角:速さ+3 モゥディ(炎祭) 48 43(54) 29 43(50) 24(28) 187(205) 炎虎の爪牙:守備+3A:守備魔防の城塞2 ライ 40 30(44) 37 33(36) 17 157(174) 柔なる戦猫の爪牙:守備+3 リュシオン 37 29(43) 34(37) 24 26 150(167) 白鷺の翼:速さ+3 レテ(正月) 41 35(49) 41(44) 27 18 162(179) 新年の戦猫の爪牙:速さ+3 無属性 キャラクター 登場 移動 HP 攻撃 速さ 守備 魔防 合計 備考 アシュ 41 39(53) 27 41 34 182(196) アスク 40 43(57) 26 43 31 183(197) エーデルガルト(闇) 45 42(56) 14 44 39 184(198) カイネギス 47 37(54) 23 37 30 174(191) 獅子王の爪牙:攻撃+3 キヌ(正月) 35 31(45) 39 16 40 161(175) ティバーン(海賊) 42 41(55) 30 36 18 167(181) ネルトゥス(正月) 40 45(59) 47 32 31 185(199) ビーゼ(海賊) 41 34(48) 40 17 40(43) 172(189) 射干玉の海賊の嘴爪:魔防+3 フォデス 46 44(58) 15 46 44 195(209) フレイヤ(水着) 40 39(53) 43(46) 25 20 167(184) 夏夜の悪夢の角:速さ+3 ベロア 40 35(49) 37(40) 33 23 168(185) 人狼娘の爪牙:速さ+3 リアーネ 36 27(41) 37(40) 16 34 150(167) 白鷺の翼:速さ+3 リィレ(正月) 40 37(51) 42(45) 27 28 174(191) 賀正の妹猫の爪牙:速さ+3
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このwikiについて 2D格闘ゲーム「BLAZBLUE」に登場するキャラクター「ν-13(ニュー)」「Λ-11(ラムダ)」の攻略情報をまとめるwikiです。 携帯の方はメニューから各項目へ。 当wikiはアークシステムワークス株式会社が権利を有する 「BLAZBLUE コンテンツキット Ver1.0」の画像を使用しています。 (C) ARC SYSTEM WORKS 公式 ARC SYSTEM WORKS OFFICIAL WEBSITE BLAZBLUE 現行スレ ν-13 Part13 他キャラクターwiki +別ページに飛びます 総合wiki ラグナwiki ジンwiki ノエルwiki テイガーwiki タオカカwiki レイチェルwiki アラクネwiki ライチwiki バングwiki カルルwiki ハクメンwiki ツバキwiki ハザマwiki μ-12wiki マコトwiki ヴァルケンハインwiki プラチナ=ザ=トリニティwiki レリウス=クローバーwiki アマネ=ニシキWiki バレットwiki アズラエルwiki イザヨイwiki 動画 基礎コンボ動画 どのコンボから始めたらいいかわからない…という方はこちら +BBCSEX (ニコ動)Λ-11動画を力を入れて集めてくださっている方のマイリスト (YouTube)悲しいけど大体a-cho(京都)動画で事足りちゃうのよね 初心者向けキャラクター解説等 ↓現在公開中のコンボムービー↓ BBEX +BBCS2 +BBCS ご本人による解説テキスト ※ニコ動版は一度お亡くなりになったのでリメイク コメントフォーム兼更新情報 5C 重力とかなら意外と5Cのあと猶予あるから重力にディレイかけて入れればいいと思う。 -- (名無しさん) 2011-08-01 08 02 24 アドバイスありがとうございます -- (名無しさん) 2011-08-04 00 00 48 コンボ携帯からじゃ見れなくなってしまったのですね… -- (名無しさん) 2012-01-19 07 44 03 編集した者ですが、やはり前の方に戻したほうがいいでしょうか? -- (名無しさん) 2012-01-19 18 20 21 出来れば携帯からもコンボ見れるようにして欲しいです -- (名無しさん) 2012-01-20 13 16 48 これでどうでしょうか? -- (名無しさん) 2012-01-21 00 04 46 見えるようになりました!ありがとうございます! -- (名無しさん) 2012-01-21 09 58 30 ニューちゃん追加が待ち遠しい! -- (にゅー) 2012-11-23 12 53 56 OD中はディアフォルマ・ルナフォルマ両方の必殺技を利用可能。 -- (名無しさん) 2012-12-06 20 27 22 クレセントセイバーは2つのフォームで共通の同技補正でした。 -- (名無しさん) 2012-12-11 00 23 13 名前 コメント すべてのコメントを見る wikiの編集・参照に関して ※重要 現在Wiki編集は人手が足りず、また個々人の編集能力も限界があります。 ν-13&Λ-11 Wikiでは随時編集者を募集しております。 失敗時のフォローも完備しているので、ご参加いただければ幸いです。 wkiの編集方法についてはこちら(別ページ) 簡単なwiki編集 どこが変更されているか、更新部分の確認を行いたい場合 更新部分を参照したいページに移動後、画面左上「@Wikiメニュー」より右から二番目 「表示→このページの最新版変更点」 よりご確認下さい。 コマンド表記・略語の参照・その他諸注意 ( ●ν^)<この度はWikiのご利用ありがとうございます 残念なことに本サイトの項目には編集者の編集スキルの無さから来る 「表記ミス」「考察部分の不備」 などが数多く存在すると思われます。 嘘、大げさ、紛らわしいなど「あれれ おかしいな」と思われる箇所を見かけましたら ご面倒をおかけしますが、現行スレ内か、トップページ下部のコメントフォームより報告していただけると幸いです。 テンキー レバー方向 (右向き時) 7 8 9 ↖ ↑ ↗ 4 5 6 = ← N → 1 2 3 ↙ ↓ ↘ jc→ジャンプキャンセル hjc→ハイジャンプキャンセル dc→ダッシュキャンセル dl→ディレイ CH→カウンターヒット RC→ラピッドキャンセル DD→ディストーションドライブ AH→アストラルヒート CA→カウンターアサルト CT→クラッシュトリガー OD→オーバードライブ cOD→キャンセルオーバードライブ Λ・μ・ν「我はラムダ…!我はミュー…!我はニュー…!我らは一振りのSTGにて全ての酢飯を刈り取り、こんな世界いらない!我らはムラクモ三姉妹…推して、状況を開始します」 (;◇)「!?」
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ソウ ソウはショウム地方の四天王のひとり。 ソウ キャラクターとしての概要 使用ポケモン初戦 再戦、SPBC 戦闘時のセリフ 関係 ソウ 性別 男性 年齢 25 協会内での立場 ジム統括部部長 相棒ポケモン 焦(こがれ)(ピジョット♂) キーストーン メガバングル 得意なバトル タッグバトル 所在地 ツルバミシティ 共有者 フル(リーフィア♂) キャラクターとしての概要 身長 162cm 服装 弓道着姿 髪の色 緑色 瞳の色 緑色 モリミヤ・ソウ(森宮 創)。 ポケモンリーグにいるどくタイプの使い手の四天王。 常に和服姿で、左手に扇子を持ち歩いている。 14歳でツルバミジムリーダーとなり、24歳で四天王になった実力者。 その際にひこうタイプからどくタイプに転向しているが、それを感じさせない強さは、良く練られた戦略によるものと言える。 ジム統括部の部長としてショウム各地のジムを回り、運営状況やジムトレーナーの育成を確認している。 月の一族であり、以前より丸くなった性格は結婚した故だと言われている。 使用ポケモン 初戦 種族 性別 特性 わざ アリアドス ♀ ふみん ナイトヘッド かなしばり どくびし みがわり クロバット ♂ すりぬけ ブレイブバード どくどく ちょうはつ とんぼがえり ゲンガー ♂ ふゆう シャドーボール マジカルシャイン みちづれ ちょうはつ ニドクイン ♀ ちからずく 10まんボルト れいとうビーム だいもんじ だいちのちから 再戦、SPBC SPBCでのランダム選出時はピジョットは固定。 種族 性別 特性 もちもの わざ アリアドス ♀ ふみん くろいヘドロ ナイトヘッド かなしばり どくびし みがわり クロバット ♂ すりぬけ ラムのみ ブレイブバード どくどく ちょうはつ とんぼがえり ゲンガー ♂ ふゆう きあいのタスキ シャドーボール マジカルシャイン みちづれ ちょうはつ ニドクイン ♀ ちからずく いのちのたま 10まんボルト れいとうビーム だいもんじ だいちのちから ペンドラー ♂ むしのしらせ チイラのみ みがわり メガホーン つるぎのまい じしん メガピジョット ♂ ノーガード ピジョットナイト ぼうふう ねっぷう めざめるパワー みがわり 戦闘時のセリフ 戦闘開始 「……良く来たね。僕は、ソウ。四天王、どくタイプの使い手、として。きみの挑戦を、受けて立つ。戦略、思い。その全てを、ぶつけてきて」 ポケモンを繰り出すとき 「行っておいで」 最初のダメージを受けたとき 「うん、良い攻撃」 最後の一匹 「……これでこそ、本気が出せる」 挑戦者の勝利(四天王の敗北) 「……素晴らしい。伊達にここまで来てないね。いいよ、君の勝ちだ」 勝利 「残念だけど、良い戦いだった。その努力は、決して無駄にならない」 戦闘終了後(最後の一人の場合) 「さあ。四天王は僕で最後。でも、この先に、チャンピオンが、待ってる。武運を、祈るよ」 戦闘終了後(最後の一人以外の場合) 「さて、僕には勝った。でも、まだ四天王はいる。君がどこまでいくか、楽しみだよ」 メガシンカ 「さあ、見せてあげて」 関係 妻 アシタバ 父・会長 シン 母 ユリ 姉 ユイ 弟 ケイ 弟 ユウ 妹 ミオ 協会の同僚 アマネ、ヒカル、ジュン、ヒカゲ